聖戦の自殺
チェチェン独立派大統領マスハドフの北オセチア学校占拠事件に対する
声明を読んで、またしても失望する。
(参照→ http://groups.msn.com/ChechenWatch/general.msnw?action=get_message&mview=1&ID_Message=1476)
(原文→ http://www.chechenpress.info/news/2004/09/24/10.shtml)
先のザカエフ声明と同じく、「自分はカンケイない」というばかりで、
チェチェン国民に対する呼びかけが何一つない。
彼はチェチェン国民の国際法上正当なただ一人の指導者ではなかったのか?
なぜ、侵略への抵抗のあるべきやり方を国民に指導しないのか?
「バサエフに従うな。正々堂々と戦え!」といえないのか?
彼が現在、軍事的に限りなく無力で、バサエフを罰する力がないことは
分かっている。
それでも、自分こそが指導者だという自覚が本当にあるのなら、
国民への指導と激励の言葉があるべきだ。
それすらできないほど、バサエフが恐いのか?
どうやらすでに、ロシア・チェチェン双方が自浄能力を失っている。
ロシアはファシズムへの道を邁進し、チェチェンはロシア諜報機関に
組織を切り崩された結果、反侵略・抵抗の大儀を忘れ、
本物のならず者集団へなり下がる一歩手前だ。
犠牲となるのはロシア・チェチェン双方の力なき大衆だ。
確かに、私が一緒に過ごしたチェチェンのイスラム戦士たちも、
身内の誰がロシアから送り込まれたスパイなのか疑い合って、
精神的に追い詰められていた。
ロシアのスパイそのものではなく、彼らの心に描いたロシアのスパイの
恐怖が、彼らの仲間同士の信頼を損ない、団結を揺るがせるのだ。
そういうときに、麻薬に汚染されたり、犯罪に手を染める偽戦士たちは
自分たちの保身のため、積極的に組織内にスパイ情報を流す。
確かに、司令官ゲラエフは組織内の腐敗を追放しようと努力していたが、
そういう勢力はそれ自体が武装しているので、排除できずにいた。
取り締まろうとすれば同士討ちが始まってしまうからだ。
ロンドンで私はザカエフに問うた。
「誰と手を結べばいいのか?
チェチェンの指導者の中で、協力するに足る人物は誰か?」
ザカエフは名を挙げられなかった。
そしていった。
「信頼するに足る指導者は、チェチェンの戦士たちの中に複数いる。
しかし、その人物は若い世代の中にいて、まだ頭角をあらわしていない」
チェチェンの聖戦は、今の世代では既に望みはなく、
次の世代を待たねばならないということなのか?