ひげ

次の取材に備えて、また顎髭を伸ばしつつあるが、
私は基本的に髭が合っていない。
似合う、似合わないではなく、皮膚に合わないらしい。
いつもある程度伸びてきたところで、
毛穴のあたりで伸びてくる髭がつっかえるのか、肌が炎症を起こしてしまう。
結局そのあたりには髭が生え揃わないので、円形脱毛症みたいになって、
可愛くない。
可愛くなくちゃ、ダメだ!

アブハジアでは、私は従軍取材が始まって間もなく、落石を受けて頭に負傷した。
傷は浅かったが、清潔に保つ必要から、頭髪を全部剃ってしまった。
頭がつるつるで、髭だけを残しているので、髭が異様に目立つ相貌となった。
さっそくチェチェン戦士たちは私にあだ名を付けた。
「バラダーティ」

「ひげづら」という意味だ。