シャミル・ザカエフ

4年振りのシャミル・ザカエフは、少しも変わっていなかった。
相変わらずスマートで、ハンサムで、静かないい男だった。
99年に私たちをグロズヌィへ連れて行ってくれたオマルは
死んだのだそうだ。
2002年に、ウクライナで車を運転中、立ち木に衝突したのだという。
私たちがグロズヌィで出会ったアスランベック司令官は殉教したそうだ。
シャミルと一緒にいたアダムは、その後彼と共にシャティリ経由で
グルジアへ出てきたが、今はロシア国内の学校で学んでいるそうだ。

私は彼に、アブハジアでの話をした。
ティムール・ムツラエフが負傷したときのこと、ハムザート・ゲラエフが
私になにを話したかについても話した。
パンキシの写真や、アブハジアでのハムザート部隊の写真を、
すべて渡した。

シャミルは帰りの地下鉄の中で、私が渡した和菓子の詰め合わせを
家に帰るのが待ちきれないようすで開封し、その場で一つ食べたそうだ。