東長崎

早稲田大学が好きだ。
私が在学中の早大は、妙なところだった。
破れた学ランを着て行っても、寝間着を着て学校へ行っても、
そういうものだと普通に思われた。
そういう中から、右翼が出て、左翼が出て、カルト宗教団体が出て、
芸能人が出て、小説家や戯曲家が出て、テロリストが出て、政治家も出て、
漫画家が出て、犯罪者も出た。
良いものも、悪いものも、全てを抱え込んで、蠕動し蠢動していた。
今の早稲田は知らない。
奥島総長のどうしようもない経営で、経済的にはガタガタ、
学生は去勢状態になっているように見える。
残念極まりない。
学問の場ではないが、今の東長崎に私は、在りし日の早大まぼろしを見る。
ここにはやはり右翼がいて、左翼がいて、宗教かぶれ(私だ)がいて、
私の検討もつかない優秀な頭脳がいて、私の狭い了見のまったく及ばない、
とてつもない大馬鹿者がいる。
彼らがどのような末路を辿るやら、私の了見では計り知れない。
しかし、近いうちに、少なくとも一部の狭い業界世界では、
「東長崎から来た」ということが、一種のステータス、
あるいは偏見の的となるだろうと、私は確信している。