無反省文(その2)

 もうひとつ、自由を切望し、自由のために戦い続けているロシアの友人たちに対して、私はお詫びしなければならないことがあります。これは後述いたします。

 北カフカス入域直前、私はウェブ上の日記“The Chicken Reports”(http://www2.diary.ne.jp/user/61383/)に次のようなことを書きました。

■2004/11/10 (水) 09:16:09 このままじゃあたし

 今回の取材では、私は敢えて自分の行動を筒抜けにしてきた。
ロシアが秘密諜報機関の支配に落ちて、チェチェンやその周辺を
取材しようとする記者が次から次に妨害を受けている今、
こちらが自分の行動を秘密にして、妨害者と秘密比べをするよりは、
自分の行動をガラス張りにして、秘密を秘密にしにくくすることで、
仮に妨害があったときに目立つようにした方がよさそうだ。
うまくすると妨害を抑止する効果があるかもしれない。
独りグラスノスチ政策だ。仮に抑止できなくても、それはそれで構わない。
誰かが手を出してくれば、それこそ最高のネタになる。
こちらは何かを失うかもしれないが、相手方はもっと多くを
失うことになる。私が自分で記事にできなくても、
大勢の同業者と市民が私の動向を観ている。ファウルを誘ってやれる。
(引用終わり)

 実際のところ予想は外れ、ロシア諜報機関は私への取材妨害をためらったりはしませんでした。せめて、彼らは自分たちの正体を巧妙に隠して、妨害があったのかなかったのかすら分からないように、たまたまの出来事であるかのような偶然を装った方法で、こちらに不利益をもたらすのではないかと私は予想していましたが、そんなことすらなく、バカ正直に正面から食らいついて来ました。(その3へ)