ズィクル

 モスクワは、モスクワにしては激しい雨。道路が川のようで、行き交う車が盛大なしぶきを跳ね上げている。
 プーシキン広場に午後1時前に到着したが、誰もいなかった。この雨じゃ仕方がない。
 インターネットを使った後、クズネツキーモストのプロラボで、ワシーリー(仮名)の現像済みフィルムを受け取る。2カットしかまともに写っていなかった。でも、骨董品のカメラの試し撮りだから、写っているだけでも成功だ。それから、モスクを探しに行く。アヴィアモトルナヤで降りてみたが、違った。トレチャコフスカヤで降りてみたら、見覚えがあった。礼拝して、カフェに入るが、人が多すぎて、食事どころではない。諦めて、駅前のヨルキーパルキーに入り、210ルーブリのサラダバーを注文した。
 午後7時に、再びモスクへ行き、イシャーの礼拝をする。今度はカフェは空いていた。客に聞くと、確かに今日はズィクルがあるという。お茶を飲んだ後、モスクの地下へ。
 2000年の初めにここを訪れたときと、何一つ変わっていなかった。チェチェンとイングーシ、ワイナハの男たちは、唸るような声を挙げながら、足を踏み鳴らし、輪になって走り回っていた。