ホームパーティ

午前10時過ぎにサイバーカフェへいったら、閉まっていた。
なんと週休二日なのかと落胆したが、シャッターの張り紙をよく読んだら、
「本日、正午より営業」とあった。
キングズクロスの先の聖パンクラスまでぶらぶら歩いて、
ディンウィディに帰ってきた。

それにしても、この引き篭もり体質をなんとかしたいものだ。
バグダッドに来ても、ロンドンに来ても、何も変わらない。
独りでいると私は家から出ることすらできない。
なぜなにもできないのか、よく考えてみたが、それは私が異常なまでに
淋しがり屋だからだ。
淋しいと死んじゃうウサギの気持ちが私にはよく分かる。
独りでどこへいっても、なにをしても、少しも楽しくないし、
幸せを感じることができない。
苦しいばかりだ。
誰かと逢うとか、一緒に食事するとか、そういうことなら、
出掛けることができるのになあ。

海外にいても淋しくなかったときのことを思い出してみた。
コーリャは面白いやつだったなあ。
アリハンは魅力的な男だったなあ。
あんなのと一緒だったら、いくら辛くたって我慢できるのになあ。
どうして私の好きな人は、いなくなってしまうのだろう。

正午、サイバーカフェへ。
ログ・インすると、※※は風呂上りだった。
そのまま午後8時の閉店までメッセンジャーでチャットしていた。

チーズだとか、お菓子だとかを買って、繁田教授のホームパーティへ
いこうとしたら、部屋のコアへ向かうカギが開かない。
玄関から電話してみたが、自宅の電話は鳴るばかりだし、携帯は留守電だ。
仕方なく、部屋へ戻ってチーズを一人で齧っていたところに、
部屋の電話が鳴った。
繁田教授だった。
教授のキッチンには白人のサヴォイホテルのスタッフの若い男性と、
メヒカーナの大使館職員の女性と、中華系マレーシア人の女性シンと、
日本人の若い女性4人が集まっていた。
うち一人、Mちゃんだけがディンウィディの住人で、
あとは来訪者なのだった。
誰もがせいぜいロンドンに来て一ヶ月という新参のロンドン市民だった。
Mちゃんはシャミルのクラスメートだと分かった。
繁田教授の提案で、シャミルに電話してみたが、彼にとっては
これから家を出てくるには遅すぎたみたいだ。
午後11時半までパーティは続き、お開きとなった。