ハンガリー(その1)

ギョルというハンガリーの田舎町で列車は乗換えとなっているのだが、
ウィーンからの便の到着は23時過ぎ、ブダペシュト行きの出発は午前3時50分ときている。
およそ4時間の待ち時間がある。
大したことはないと思っていたら、この駅には待てる場所がどこにもないのだった。
おそろしく寒い。
その上、何も食べていないので倒れそうだ。
町に出てみたが、開いている店などどこにもない。
駅前の階段の降り口でへたり込んでいたら、ホームレスのおじさんが声を掛けてきた。
「ノンストップの店があるから、コーヒーを飲みにゆかないか」
地獄に仏だ。
駅の裏のバスターミナルの外れに、確かに深夜営業のコーヒースタンドがあった。
当然、おじさんの分もご馳走した。
おじさんはそれから、ガソリンスタンドに併設されているコンビニエンスストアに私を案内した。
ここも24時間営業しているのだった。
おじさんにねだられて、私はタバコ一箱とコーヒーさらに一杯、そしてパイをひとかけご馳走した。
私も清涼飲料とパイひとかけを買って食べた。
店内はコートを脱ぐほど暖かく、これで私はすっかり元気になった。

列車は時間通りに到着し、午前6時過ぎ、ブダペシュトのデリー駅に着いた。
情報を集め始める。
ここから空路バクーへ向かうとすると、切符はどこで買えるのか?
料金はいくらか?
バクー行きが高過ぎる場合、イスタンブル行きはいくらか?
イスタンブルには陸路でも行ける。
が、その場合、時間と料金はどれほどか?

この時間、開いている旅行社はない。
分かるのは列車のスケジュールだが、デリー駅ではなく、カラチ駅から出るらしい。
地下鉄に乗ってカラチ駅へ。
地下鉄は一回125フォリント、70円ぐらい。
窓口で分かったのは、イスタンブル行きは19時15分。
所要2日間。
料金31000フォリント余り、つまり17000円ぐらい。
高いし、遅い。
インターネットの場所を確かめたあと、マクドナルドに入って旅行社の営業開始時間を待つ。
マックシェークは310フォリント、つまり170円ほど。
日本よりはもちろん安いが、やはり高い。(その2へ)