アルビル(その2)

 スーク(市場)の中に、クルドの伝統料理「パチャ」の店を見つけて昼食に入った。羊の頭と米を詰めた臓物を何時間も煮込んだ料理だ。トルコのパチャはスープの中に臓物や頭の肉が入っているが、ここではスープと肉は別の皿に盛られて出てくる。10年前と変わらずうまかった。これをもう一度味わいたいがために、アルビルまで足を伸ばしたのだ。でも、神崎弟くんは舌に合わなかったらしく、かなり残していた。一人分12ディナール(およそ220円)。
 スレイマニヤ同様、ここにもインターネットカフェがいっぱいあった。1時間10ディナール。スラーヤ衛星携帯電話の代理店もあった。電話機本体の価格を聞くと、700ドルだそうだった。これまでに聞いたどの値段よりも安い。
 10年前のスレイマニヤやアルビルは、PUKやKDPのペシュメルガ武装して闊歩していて、いたるところ廃墟で、誰もが生活再建に苦しんでいて、それでいてエネルギーに溢れていた。とにかく美しくて、「絵」になった。今は、発展を遂げてしまったからだろう。風光明媚な普通の街だ。それは、この地域の人たちにとっては素晴らしいことなのだと思う。あんまりいい写真は撮れなかったけど、これでいいのだ。気が済んだ。満足した。