アルビル(その1)

 昨日の夕食は、キルクーク一のレストラン「アブドゥッラー」で取った。「ゴーシュトオベレンチ(肉と米)」といわれるクルド料理で、ピラフの上にじっくり煮込んだ羊の肉がのっている。米には豆や野菜のシチューを掛けて食べる。一人8000ディナール(490円〜650円)したが、安く感じるご馳走だった。ホテルもキルクーク一の「キルクーク・キャッスル・ホテル」で、う〜さんと二人で45ドルもした。部屋はとても広くて、テレビはCNNが映った。今回の取材中、イラク内では一番豪華な宿になった。私たちの後から、米兵がバス一台分チェック・インして来た。スレイマニヤでもバザールでオフを楽しんでいる米兵を見かけた。銃は持っていなかった。バグダッドでは考えられないことだ。
 今日、う〜さんは朝早くチェックアウトして、バグダッドに戻っていった。今日中にヨルダンに出国したいという。ジャミーラさんとヤスミンさんもシリア国境へ向かったはずだ。出国できるといいが。
 私たちはバスでアルビル(クルド語ではハウレル)へ向かった。一人6ディナール(およそ110円)。ベハールホテルにチェック・インする。粗末な金属製のベッドが3つと、暗い豆電球がひとつ点ったトイレがある。もちろん、お湯は出ないし、トイレはアラブ式だ。一人15ディナール(およそ250円)。10年前に泊まったワールドホテルは当時一人21円で、私がかつて泊まったホテルの中で一番目か二番目に安かった。(もっと安かったのは、アフガニスタンのチャイハナで、99年当時お茶つき17円ぐらいだったが、あれはホテルといっていいか疑問だ)できればワールドホテルを探し出して再び泊まってみたかったが、見当たらなかった。当時すでにボロボロだったから、廃業してしまったかも知れない。
 アルビルはクルディスタンの「首都」だが、印象ではスレイマニヤより小さくて田舎っぽい感じがした。10年前はこちらの方が都会らしかったのだが、この十年間でスレイマニヤがより発展したのだと思う。アルビル城に登ってみると、ここは10年前と何一つ変わっていなかった。
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