アンマン到着

 イスタンブルまでのトルコ航空でアリ・イスマイルさん、映画助監督の森本さんと一緒になった。彼らは明日の便でアンマンへ向かう。おそらく結局合流することになるだろう。そこから私だけダマスクスへ。ダマスクスの中央バスターミナルから乗り合いタクシーでアンマンへ。アンマンのインターコンチネンタルホテルに着いたのは午前5時頃。
 ホテルのロビーで休んで、午前9時になってからテレビ東京のスタッフに連絡を取った。階下に降りてきてくださったのは香港支局からの応援組の綱沢さんと奥山さん。二人はモスクワ支局の飯嶋さんとの交代でアンマン入りしたが、バグダッドに入る許可が出ないまま、次の取材地に移ることになっていた。
 お二人と打ち合わせをした結果、私はテレビ東京の取材の手伝いをすることになり、そのスケジュールの都合で、イラク入国を日曜日か月曜日まで延期することになった。
 私と入れ替わりに、テレビ東京の仕事でこちらに滞在していたフリーTVカメラマンの中村さんが出国することになった。中村さんは普段ナイロビに滞在され、アフリカ大陸の取材を続けている。
 本当はイラクパレスチナの取材なんかやってる場合じゃない。同時進行で、コンゴチェチェンでは桁違いの殺戮が続いている。コンゴでこの4年間に殺害された人数は200万人だという。イラクとはゼロの数が二つほど違う。本来はそっちの取材を優先すべきだという意見で一致した。
 チェチェン以上に、アフリカの戦場の取材は過酷だ。マラリヤや風土病、治安や戦闘の激しさの問題だけではない。より大きな問題は日本での無関心だ。アフリカの取材はカネがかかる。にもかかわらず、アフリカでたとえいい取材をしたとしても、発表する場所があまりにも限られている。フリーランスにとって、経済的にたちゆかせることが非常に難しい。
 中村さんはもともと痩せた方なのかと思ったら、最近マラリヤにかかって体重が20キロ落ちたのだそうだった。現在はまだリハビリ中というわけだ。ひたすら頭が下がる。本当に大事な仕事をする人は、それほど知られていないことが多い。
 中村さんは夜の便で日本へ向かった。しばらく日本での仕事をこなしたあと。またアフリカ大陸へ戻られる。