長崎の記者諸君へ

フリーランスの巨人・寺澤有さんが
長崎県警本部長(当時)らによる会計検査院の料亭接待を
講談社フライデー誌ですっぱ抜いたとき、
私は事前にその記事が社会に出ることを承知したものだから、
元の職場長崎放送の仲間に、その事実とかつて自分がつかんでいただけの情報を
メールで教えてやった。
「抜かれるぞ!追い駆けろ!」と。
ところが、地元長崎のメディアは誰一人、「後追い記事」すら書けなかった。
そして私にメールでいうのだ。
「トバシですかね?」
寝言は寝て言え。
私だって当時その事実は知っていたのだ。
しかし、ウラを取れなかったから書かなかった。
そのウラを取るタイミングが到来したという話である。
長崎放送以下、長崎に5つもあるローカルメディア、
そして全国紙の支局記者はウラどころかオモテすら取れなかったわけだが、
どうして君たちにネタが取れないか、教えてあげよう。
それは君たちがサツ(警察)を回るからである。
サツを回るのは記者として当たり前なのだけれども、
サツしか回らずに取れる情報なんて所詮、
サツの提灯記事か、サツ内部の権力抗争に負けて切り捨てられる
下っ端の不祥事程度のものだ。
サツだけでなく、サツの仕事の裏側を回ること、
つまり、サツに犯人扱いされた人たち、日常的に監視されている人たち、
サツの食い物にされている社会の底辺の人たちの声を聞き取ってごらん。
ちょっとやっただけで、簡単に特ダネが取れるよ。
なぜなら、そんな当たり前なことを今までどの記者もやってこなかったからね。
先輩方が何一つやるべき仕事をしてこなかったこと、
そのせいで天敵がいないのにつけ込んで、
長崎県警の警察官はやりたい放題にやってきた。
今や長崎県警の裏通りはジャーナリストにとって宝の山だ。
そして、長崎の記者が依然取材力ゼロなのをいいことに、
寺澤有氏は笑いがとまらぬ日々なのだ。