寄生人間

現地通貨ナイラを150円分ぐらいしか持っていないので、ホテルにお茶を
注文することもできません。なんでこんなにカネがないのかといいますと、
全部、バイト先に立て替えてしまったから。立て替え分が8万円ぐらいに
なっています。返してもらえるのかなあ?ナイジェリアは外貨の両替も
どこでもできるという具合にはいきません。
こうなるとどうなるかといいますと、ナイジェリア人に頼って生き延びるしか
なくなります。F氏の家からミネラルウォーターをもらい、パンをもらって
生命維持しています。
F氏の家ではミネラルウォーターがグラスに注がれて出てきたのですが、
グラスが例によって強烈な下水の臭いがして、ぼくは咽せてしまって
飲めませんでした。
出された水を飲まないのに、「水を下さい」とずうずうしく要求するぼくを
みなさん訝しがって、「冷やした水は嫌いなの?」とか、尋ねてくださるの
ですが、グラスが臭うなんて、とてもいえませんので、むにゃむにゃと
ごまかすしかありません。
ナイジェリア人にとってナイジェリアは「暖かい」場所らしいですが、
ぼくにとっては年中暑くて苦痛な場所です。ナイジェリア人より汗を
かくので、その分、水が必要になります。その水が自由に手に入れられない。
結果、ラゴスでぼくは、だいたい一日中、喉が渇いて喘いでいます。

ようやく、出国用の切符が取れ、明日、ピックアップできそうです。
ロンドンでなにより楽しみなのは、喉が渇いたら水が飲めて、お腹が
空いたらパンを買って食べられることです。自由だ!

半年この国にいて、時間は有り余るほどあったのに、ラゴスどころか
この国の見所の一つも訪ねなかったなあ。休日というのは、ホテルや
事務所に何日でも監禁されて過ごす日ということになっていたので。