お茶

ナイジェリアに赴任する前の役員O氏との話で、忘れられない嘘があります。
「カフェはありますか?」「あるよ」
実際には、ナイジェリアには、ひょっとしたらくまなく探せば「カフェ」と名前の付いた店の一つぐらいはあるかも知れませんが、カフェは一切ありません。珈琲やお茶を飲む習慣がないので。珈琲もお茶も存在することは存在しますが、市民は習慣としては飲みません。お酒もタバコも薬物もやらないが、珈琲だけは欠かせないぼくには、これは辛い。これまで、エチオピアや、グルジアや、ベトナムの独特の珈琲、アフガニスタンのミルクと砂糖と塩と香辛料の入った緑茶や、インドのチャイ、モンゴルやカザフの塩入りミルクティ、中央アジアの緑茶など、世界中で地元のお茶や珈琲を飲むのを楽しみにしていたぼくにとっては、実に残念です。
それに、もう一つの根本的な問題は味覚です。
アバカリキのスタッフがチョコレートドリンクのことを「ティ」と呼ぶと書いたことがありますけど、使い分けが面倒だから一緒くたにしてるだけかと思ってました。実際、「お茶買ってきて」といったら、チョコレートドリンク買ってきたわけです。
先ほど、Lisa Guest Houseでキッチンのスタッフに「お茶ありますか?」と、聞いたら「ある」というので、喜んで持ってきてもらったところ、やはり、ココアでした。本当に、味の違いが分からないのだと知ってしまいました。
紅茶とココアなんて、似てるのは砂糖入れれば甘い、ということぐらいだと思いますけど、ナイジェリア人の舌は「甘い」「辛い」「しょっぱい」程度の味覚の違いしか分かっていないようです。使う調味料は塩とトウガラシだけだし、肉が腐ってても分からなかったし。
食べ物の話をしても噛み合わないわけだよ。