スラム

アバカリキの事務所を出て、ナイジェリア国内出張の旅に出て、一週間です。結局、15日に日本を出てから、事務所に滞在した一週間を除いて、ずっと国内各地を時計回りに周遊しています。
三週間が過ぎても、ナイジェリアはよく分からん国のままです。ひどいところなのは確かですが。
今日はラゴスを車で回りました。どこもかしこも、高級住宅地ということになっているビクトリア島ですら、ちょっとした橋の下あたりはスラムになっていました。メインランドの方は見渡す限り、視界の果てまでボロボロの家々が続いていて、気が遠くなりそうです。
インドのスラムに似ていますが、インドよりももっと、恣意的な悪徳の結果というような、匂いがします。高級住宅地の家々は、高い塀と鉄条網、ガードマンを使って、スラムの人たちから我が身と財産を守ろうとしています。ぼくは、ここではそちら側に属しています。
高級住宅街には欧米風のスーパーマーケットもありました。店内は全然高級感はありません。どちらかというと、煤けていて、安物感が漂っています。商品も当たり前のものばかりでした。スニッカーズ・チョコレートや清涼飲料水。あのまずいハインズのケチャップや、ガム…それらがどれもこれも、日本の二割から五割も高いのに、ぼくは驚きました。
スラム側には、堀っ立て小屋のような路傍の店しかありません。同じ品物でもそこだと少し安いそうです。が、ナイジェリアの物価は日本に比べて決して安くはありません。給与水準は日本の十分の一だそうですが。
地方の集落におよそ店というものが見当たらなかったわけです。この国は、国民の大半が貧困層なのに、社会は超少数派の富裕層だけを顧みて運営されています。