ダメぽの全員(その1)

ほんとは仕事があったのに、目が痛いので引きこもって、PDA
スマートフォンiPod代わりにしてネットからダウンロードした音楽を
一日中聴いていた。
部屋から出るタイミングといったら、痛む目を水で洗ったり、留め止め
なく出る涙と鼻水を洗ったりといった程度だった。
目の痛みは夜遅くなって引いてきた。代わりに右目のまぶたが赤く腫れて、
ものもらいみたいになっている。

午前零時近くなってギャルギャルRYが息も絶え絶えの声で電話して来た。
「今新宿にいるんだけど、動けない…熱があるみたい」
終電がなさそうなのでバイクで現場へ急行する。
新宿南口のカラオケ店のブースでは、RYが死体のように転がっていた。
RYのパートナーにして車椅子の大作家Mさんはそばで困り果てている。

熱があるといっていたけど、YRは腹痛で動けないというのだった。
すぐ階下に降りて店員に説明し、救急車を呼んでもらった。
YRときたら、自分でぼくを呼ぶくらいなら自分で救急車を呼べばいいの
だろうが、彼女はMさんの介護者なので、彼女が運ばれていってしまったら
Mさんは路頭に迷ってしまうのだ。
ぼくに電話する前にSMちゃんだとか、SM2ちゃんだとか、OKちゃんだとかに
電話しまくったそうなのだが、こんなゴールデンウィークの真っ最中の
天気のいい夜に若者が捉まるものではない。
捉まったのは引きこもりのぼくだけだったというわけだ。(その2へ)