上海

夜が明けたら帰国だ。
中国訪問は3回目だったのだが、過去2回はウイグル自治区だけの訪問で、
中国という国を見たのは実質初めてだったといっていい。
往路のトランジットも含めわずか4日の上海だったが、とっても勉強に
なったし、面白かった。
特に、インドやパキスタンといった国と比べると、違いが際立った。
今回、HTC Universal/i-mate JASJARという台湾企業製のスマートフォン
(簡易的なコンピューターの機能を搭載した高機能携帯電話)を、今まで
持ち歩いていたノートPCに換えて持っていったのだが、インドとパキスタン
では通話機能以外ほぼガラクタだった。
現地のITインフラが遅れすぎているのだ。
それが、上海ではフルに活用できた。
HTC UniversalはWi-Fi無線LAN)機能とGPRS(常時接続が可能な、携帯電話
を使ったインターネット接続)機能を搭載している。
これが、どちらも印パ両国のプリペイド携帯契約では使えなかった。
インドの携帯カスタマーサービスの担当者にいたっては、GPRSと国際
ローミングを勘違いしていた。
それが上海では、空港のカウンターでプリペイド携帯のSIMカードを買うと、
その場で通話だけでなくインターネットもメールも自由自在に使えるのだ。
印パでは街中に有料のネットカフェがあり、そこでは何台ものWindows98搭載
コンピューターが一回線のダイヤルアップ接続を分け合って使っていた。
当然、メールをチェックするだけでも無意味に長い時間がかかった。
上海では、若者の多い繁華街のカフェに無料のWi-Fi設備があり、
そこでは持ち込んだコンピューターやスマートフォンで、
コーヒーを飲みながら何時間でもブロードバンドを利用できるのだ。
ただし、これだけインフラが整っていても、私は普段閲覧している多くの
ウェブサイトを中国で見ることができなかった。
東長崎機関のサイトも、アムネスティのサイトも見られなかった。
サダム時代のイラクと同じ、情報統制のせいだ。
摩天楼が林のごとくそびえ、発展の程度で明らかに東京を追い越して
しまった上海だが、自由だけはパキスタンほどもないのだ。

それにしても、デリーの空港でも、上海の街中でも、スマートフォン
話している若者やビジネスマンを頻繁に見かけた。
日本ではスマートフォンはまだマニアのみ知るデバイスで、町を歩いても
若者はキャリアのお仕着せサービスしか使えないおもちゃのような携帯
ばかりを持ち歩いている。
使う人間が一番進化してないのは日本かもなあ。