テントの海

被災地バラコートへ至る旧カラコルムハイウェイの道沿いにも、
イスラマバードの広場や公園にも、いたるところにテント村が設営されて、
震災被災者が生活していた。
車で通ると延々と海のように続くテントの棟々を横目に眺めることになり、
だんだん感覚が麻痺してくる。
28日はイスラマバードにあるテント村の中でも大きいH11と呼ばれるサイトを
訪問した。
イスラマバード郊外の政府の敷地いっぱいにおよそ900のテントが設営され、
6000人が生活しているという。
歩いても、歩いても、テントが続き、たちまち自分の位置が分からなくなる。
それは居住者にとっても同じ悩みらしく、あちこちにアルファベットを示した
旗が立ててあり、それがテント村の中での住所の役割を果たしていた。
クウェートUAE、トルコ、カナダと、さまざまな国籍のNGOの支援で
ひとつのテント村が運営されているそうだが、村の中でも場所によって、
支援している団体が異なり、生活条件もかなり異なっているという。
村の入り口近くにはクウェート支援の大型テントがあり、ここに私たちは
お邪魔させていただいた。
テントの丈は高く、大人が立っても頭の上に十分な区間ができる。
テント同士の間はベニヤ板で仕切られていて、なんとかプライベートも
確保できそうだ。
それでも、ムザファラバードから逃れてきたというそこの住民は、
「ガスがない」「夜間寒くて辛い」と、訴えていた。
村の奥の方のテントは、はるかに条件が悪そうで、子供の背丈にも足りない
低い布製のテントに、敷物すらなく、地べたに直接座っている女性を
見かけた。
同じ日のYahoo!のニュースサイトで、日本のNGO8団体がムザファラバード
近郊で、ようやく支援活動を始めた、という記事を読んだ。
100家族程度を受け入れるというが、ここでは焼け石に水だろうなあ。