バラコート

地震被害のもっとも大きかったパキスタン北西辺境州のバラコートを訪ねた。
一面の瓦礫の山の中で、村人たちはうちしおれているかと思いきや、
ラホールやラワルピンディの都会人のしかめっ面と違って、なんだかみんな
笑顔でよそ者の私たちを迎えてくれた。

イスラマバードで打ち合わせをしているときは、一体このような
文化果つる土地で、やわな日本の若者を集めてボランティアなんか
できるものだろうかと、先行き見通しの暗い思いに駆られたのだが、
バラコートの人たちの柔和な顔を見て、なんの問題もないような
気がしてきた。

7万人が一度に命を落とした、という数字を見ると、戦争一回分、
あるいは長崎原爆一発分の被害で、負傷者や家屋被害の程度は
さらに甚大なわけだが、それでもさっぱりめげていないように見えるのは
イナカの人だからなのかな?

テント村の住民に政府などの支援金が届くと、これからの物入りの予定も
何も考えずに。すぐに使ってしまうといっていた。
その代わり、持っている財産を失ってしまっても、くよくよ
思い悩まなくていいんだとしたら、その方が幸せにやってゆけそうだ。