股間に傷を持つ男

成人雑誌の広告のページなどで紹介されている包茎手術は、手術したことがバレないことが重要らしいので、傷跡を目立たなくするためにヘアーで隠れる根元の方を輪っかの形に切除したり、涙ぐましい工夫を凝らすらしい。その点、私の割礼はやったという事実が大事なので、傷跡が残っても一向に構わない。時代劇やマンガでは、カッコいい傷跡を持った登場人物がよく出てくるが、胸に七つの傷を持つケンシロウや、顔にナナメ傷のハーロックブラックジャック、全身傷跡だらけのゴルゴ13と違って、「股間に傷を持つ男」というのはあんまりカッコよくない気がする。

今泊まっている安宿が一泊5ユーロ。インターネット環境は悪くない。しかし、取材拠点としてはどうだろう。モスクワを使うのが難しい以上、イスタンブル以外で考えられるのは、キエフ、ソフィア、テヘランダマスクス、アンマン、カイロあたりか。現場との距離などを考えても、イスタンブルはやはり最適だ。それでも、どこかここ以外のどこかを、と考えてしまうのは、ここがあまりにもつまらないからだ。

イスタンブル股間の傷を癒す以外にやあることがなかったので、日本人宿Tree of Lifeの漫画ばかり読んでいた。スラムダンクをほぼ読破した他、浦沢直樹のMonstarとマスター・キートンを読破。古谷実シガテラを3巻まで。先々月、コンヤ・ペンションに泊まったときは、エリア88を一晩で読破したものだ。ところで、学生時代、「読破」を「ドッパ」と読む友人がいた。私は「ドクハ」と読んでいて、「ドッパ」なんて断じて許せないと思った。最近、脱北者という言葉が当たり前のように使われているが、テレビでアナウンサーが「ダッポクシャ」と読んでいるのを聞いて、やはり許せないと思った。いい難くても、「ダツホクシャ」と読んで欲しい。

まだ6月だというのに東京がそんなに暑いとはまいった。8月はどうなってしまうだろう。今から、帰国後の凌ぎ方を考え中だ。