電話マニア

 イスタンブルのサイバーカフェでskypeの有料一般回線接続サービス「skype!out」のクレジットを追加購入しようとしたら、ウェブの購入画面にマネーブッカーというシステムの紹介画面が現れた。ネット上の一種の銀行にクレジットカードからお金を振り込むシステムらしい。画面のガイドに従って、振り込もうとしたが、最後の手続きのところで何度やっても「原因不明のエラー」が出る。おかげで、イスタンブルではいくつかの重要な電話連絡を省略したり、高価な国際ローミング通話を使ったりせざるを得なかった。
 ところが、スイスについてここからネット経由の同じ手続きでskype!outを購入しようとしたら、以前日本の自宅で初めて購入したときと同じ各種クレジットカードの画像が現れて、それをクリックするだけでなんなく決済できてしまった。skypeというのはサーバを介さずコンピュータ端末同士を接続するピア・トゥ・ピアという技術を使った無国籍・無料通話を売りにしているが、お金が絡むとサーバを国籍差別するらしい。
 Vodafone3Gだとか、GSM携帯のSIM Unlockだとか、skypeだとか、衛星携帯電話Thurayaだとか、無料FAX番号のD-FAXだとか、自分が電話と通信のことばかり話題にするのでマニアだと思われ始めている。自分でも、自分は電話オタクになったのかな、と考えてみたが、要するに私の仕事にとっては資本も元手もほとんど要らないのだが、通信手段だけは重要なのだ。実際のところ、ビデオカメラも一眼レフも、私にとっては是が非でもというわけではない。しかし、英語とロシア語と日本語を使ったあちらこちらとの連絡は、できなければ私はどこへも行けず、誰にも逢えない。通信のコストを下げることは、私のビンボー脱出のために切実なテーマなのだ。
 スイスでは、まったく電話を使っていない。私のVodafoneのNokia6630は待ち受けのまま寝ているし、Thurayaは電源すら入れていない。こちらのSIMも買わなかった。ここでは基本的にはやることがなにもないので、電話も要らないのだ。自分がどうやらマニアじゃなかったらしいと、ここへきてやっと分かった。
 インターネット上には本物の「携帯マニア」と呼ばれるべき人たちがいて、携帯の使い方についていろいろなウラ技を公開されている。彼らは実用というより、趣味のためにそうした方法を開発されているわけだが、こちらは無償で提供されるそうした情報に仕事と実生活の上ですごく助けられる。感謝感激。オタク万歳!