アラブ人同士

 ある、アラブの友人は、イラクで初めてシーア派の残酷さを知った、と語ってくれた。彼はスンニー派で、サダム支持者だった。サダム統治下イラクでの粛清を知らない彼は、サダム政権を救おうとイラクに乗り込み、サダムによる大殺戮の犠牲となった人々の群れに、何の予備知識もないまま、同胞だと思い込んで飛び込んだのだった。
 彼は、ムスリムスンニー派シーア派などの宗派を問わず、世界中すべて兄弟たるべしと信念を持っていた。それなのに、シーア派の兄弟から自分がなぜそんなに敵視されるのか分からなかった。彼はシーア派の人々に捕らえられ、私刑で殺される直前に、米軍に救われ、解放された。今では彼は、イラクで対米抵抗運動だけでなく、イラク人同士の殺し合いが続いている理由は、イスラム聖戦士になりすまして無差別殺人を続けるシーア派がいるせいだと、固く信じている。

ところで、相変わらずホテルに水がない。
大事な耳掻きをどこかに落とした。
耳掻きたい。