「還らざるサハラ」還る

面白いハードボイルドものを読みたいといつも思っているのだが、
大沢在昌新宿鮫シリーズ以外にはこれまで気に入ったものがなく、
特に邦人作家による国際ものに関しては人に薦められて船戸与一を読んで
がっかりして以来、あんまり読まなくなってしまった。
なにしろディティールが非現実的だったり、基礎的な事実関係が
間違っていたり、あやふやだったりすると、作品世界に没頭して
いられなくなって、我に返ってしらけてしまう。
チャウ・シンチーの映画(少林サッカーカンフーハッスル)のように、
「ありえねー」と突っ込みを入れながら楽しむB級作品もいいが、
書いてる方に自覚がないと次第に腹が立ってくる。
たまには本格的な作品を読みたい。
ずっと前、学生時代の93年頃だったか、一緒にアフリカを旅行した
クラスメートOくんに借りて読んだ作品が面白くて、忘れられなかった
のだが、内容は忘れられないのに著者名とタイトルを忘れてしまって、
読み返すことができずにいた。

「還らざるサハラ」(講談社文庫・藤田宜永・著)
(参照→ http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E9%82%84%E3%82%89%E3%81%96%E3%82%8B%E3%82%B5%E3%83%8F%E3%83%A9&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%)A2&lr=
(参照→ http://www.zan.co.jp/f-fujita.htm
と、いうわけで、めでたく思い出して読み返してみたところ、
やはり面白かった。
なにしろ、ヒーローは日本人なのだが、その恋人のヒロインは
サハラの先住民族ムザビト・ベルベル人なのだ。
ベルベルギャルのヒロインなんて、邦人作家の作品ではありえない
と思っていた。
登場人物のイスラム観に関する表現も、船戸与一と違ってリアルで
説得力があり、安心して読み進められる。

読んだらまたアルジェリアへ行きたくなった。