独立性(その2)

ジャミーラさんともっとも関係が深かったはずの「平和運動」「人権派」の
市民団体や元「人間の盾」のフリージャーナリストらが、その政治的・
恣意的な捜査を非難するどころか、文字通り手のひらを返して、
率先してジャミーラさん攻撃の急先鋒を担っていたことに、
私はびっくりしてしまった。

結局、警察・検察当局はジャミーラさんを正式起訴することすらできず、
略式命令だけで釈放した。
ビラを配っただけで起訴する、今の日本の警察・検察がだ。
警察の事情に詳しい人ならお分かりだろうが、身柄を取っておいて
正式起訴できないというのは、捜査のミスとみなされ、
警察組織内と周辺では恥とされる。
しかし、略式起訴のタイミングですら、逮捕要件を振り返った報道を
私は一件としてみていない。
ジャーナリストはすべてジャミーラさんを庇えと私はいうつもりはない。
警察の政治的・恣意的な捜査に目を向けるべきといっているだけだ。
ここではっきりってしまうと、警察がジャミーラさんを逮捕した本当の
目的は、彼女のパーソナルコンピュータのデータを奪うことだった。
彼女はサダム政権幹部やアラブ・イスラム世界の重要人物、日本の反体制
グループとの交流があり、公安警察はその情報に価値があると踏んでいた。
もちろん、「薬事法違反」なる事件を担当した生活安全部はカモフラージュ
に過ぎず、その裏で公安部が糸を引いていたのだ。

先日、私自身、ロシアの政治警察・秘密警察であるFSBに拘束され、
裁判で有罪判決を受けたが、日本のメディアがほとんど黙殺するか
有罪という事実だけを報道したのに対して、ロシアの独立系メディアの
多くが、私の拘束に政治的な背景があることを匂わせる報道をしたことに
私は少々恥ずかしくなった。
だって、私は日本国籍を持つ日本人なんだから。
もしも、日本にプーチンが出現したら、ロシアの民衆のようには勇敢に
抵抗できないだろう。

一般的に、反米・反自民・反体制を標榜している日本のフリーが
国家権力から独立しているかというと、はなはだ疑問だ。
たとえば「思想信条を厳しく問う」と謳って発足した
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)は
(参照→ http://www.jvja.net/
パレスチナホテルが米軍に砲撃され、ロイターなどの記者が
死傷した事件には抗議声明を出した。
(参照→ http://www.jvja.net/statement/030409.html)(その3へ)