再会(その1)

朝8時に目覚ましを掛けたのに、起きれなかった。スレプツォーフスク行きは明日にするか。24日でレギストラーツィヤが切れるのに、まだ私はこんなところにいる。

 大事なことから先に書いておこう。午後4時半頃、ナズラニのアフトヴァグザールの前で、スルホー・ジャンブラトフ(仮名)に逢った。トルコ語を喋るイスラム聖戦士で、2000年と2001年に私たちはパンキシ渓谷とアブハジアで一緒に過ごした。
 アフトヴァグザール前で私は路上の両替師と100ユーロを3600ルーブリに替えた。すると後ろから「シャミルじゃないか?」と、声がする。それが彼だった。紺色のジグリに、もう一人の仲間と一緒に乗っていた。黒い洒落た皮のジャケットを着ていた。私たちは抱き合って再会を喜び合った。私たちは彼の車に乗って話をした。――アブドゥッラはシャヒードになった。アンゾル・アラウディノフは生きている。オーストリアに出て行った。ルスキーは獄中だ。ワーハはグルジアにいる。バウーディはチェチェンの家に帰った。ティムール・ムツラエフも無事だ。ハムザート・ゲラエフは、もちろん知っているだろうが、シャヒードとなった。ロディは知ってるか?英国人だ。彼はガラシキで死んだ。ドゥダも、サイも元気だ。(個人名は一部仮名)
 私は彼に、自分の電話番号を渡した。彼は私をホテル・ウユトまで送ってくれた。
「おれはお前のことをもっと賢いと思っていたぜ。またこんなところへ来るなんて、いったいどこまでバカなんだ」
 それからいった。
「一人でうろうろするな。チェチェンへ行こうなんて、とんでもない。必ず監視されてるはずだ。たちまちFSBに捕まるぞ」
 そして、去っていった。(その2へ)