停滞

 ホテル・ウユト二泊目。お湯は出るし、モテルと違ってプリスティトュートカはいないし、250ルーブリと割安だし、断然気に入った。明日は街は動き出すだろうか。
昨日閉まっていたカフェが今日一軒だけ開いていた。特大羊肉のジジ・ガルナシに舌鼓を打つ。しかも、とびきりうまい人参サラダ、チャイとあわせて120ルーブリと格安だ。お腹いっぱい。カフェの女主人は、「チェチェンで戦争なんて、もうやってないじゃないの」という。彼女もチェチェン人だ。立場が違えば、受け取っている情報も違うということか。
 カフェの隣のマガジンで、チョコパイを買って帰ろうとしたら、イングーシの国旗を押し立てたヴォルガが店の前に停まった。出てきたのは身なりのいいイングーシ人の若者たちだ。写真を撮れというので、国旗を前に記念撮影した。皆に名刺を配った。彼らはインターネットクラブの場所を教えてくれた。明日行ってみよう。クラスノダルで作っているローカル・コーラは1.5リットルのペットボトルがわずか8ルーブリ。キャベツ・キムチは小さな袋が17ルーブリ。
 できるだけ用心深く、できるだけ臆病に、“ビビリモード”で、へっぴり腰で、少しずつ、少しずつ、取材を進めようとしているが、その当然の結果として、実に実に仕事の進展がのろい。これじゃ、何もしていないのと同じだ。これでいいのかなあ。焦った方がいいのかなあ。