チェチェン応援団内戦!(その2)

「暴力の連鎖」に歯止めが必要なのは間違いないが、
それを今まさに、虐殺の被害に遭っている人たちに向けて説くことは
無意味を通り越して有害だ。
暴力の連鎖は今、侵略の阻止、撃退をもってして初めて
くい止めることができる状況で、今回の作戦はまさにそれだ。
同じことはイラクにもいえる。
暴力を止めるには米軍が侵略をやめるしかない。
今回の作戦を否定するならば、チェチェン独立派の武力抵抗運動は
すべて否定されなければならなくなる。
山中の戦闘で殺害されている侵略者側の要員は、
一人一人はならず者でもなんでもない、カディロフほどの責任もない、
普通のロシアの若者だからだ。
実際、そういうスタンスで、独立派にも戦うべきでないと主張する
チェチェン応援団員」もいる。
チェチェン人の中にも、多数派ではないがそういう人たちがいる。
非暴力で闘う人たちもいるが、そうではなく、誰とも敵対したくない、
単に闘わない人たちだ。
彼らは最もロシアに喜ばれる上客で、もっぱらカディロフの側にいる。

チェチェン大戦争の真実―イスラムのターバンと剣
日新報道、植田樹・著)を読んだ。
(参照→ http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4817405686/qid=1084260946/sr=1-1/ref=sr_1_8_1/249-4969785-2097960
著者はNHKの解説委員で元モスクワ特派員だ。
NHKの凄まじいロシア政府礼賛報道に、
世間向きに少しだけバランスを取ろうと、
チェチェン人への同情もかけて見せたような内容。
ロシアに関しては確かに詳しく、私にとっては有益だった。
しかし、旧ソ連イスラム地域に関する日本の書物はほとんどそうだが、
イスラムや宗教全般に関して無知丸出しだ。

第一次チェチェン戦争は民族解放の戦いだったが、
第二次チェチェン戦争は外国から入り込んだ特殊な宗派「ワハーブ派」
イスラム原理主義過激派」による、市民から遊離した戦争だったそうだ。
中世のカフカス戦争は聖戦を唱えてはいても、やっぱりその本質は
「民族解放戦争」だったそうだ。
「日本チェチェン応援団」の中の、チェチェン戦争を
日本の市民運動か左翼系活動家の運動と同じようなものと捉える人たちと
同じ主張ではないか。
プロを名乗るなら、頼むから勉強して欲しい。