カルバラ(その1)

朝7時代に起きて、シャワーを浴び、朝食をちゃんと食べて、
チェックアウト。
4泊分60ドルを払うのに100ドル紙幣を出したら、釣りがないという。
そこで両替してくるよといったが、今日は金曜日で両替店は休みだ。
仕方なく、釣りの40ドルはホテルでキープしてもらうこととして、
再び私がここに戻ってきたときに清算するということにした。
あとで知らないなんて言われないだろうなあ。
イラク以外のアラブの国なら絶対こういう約束は反古にされるのだが、
何しろアラブの中の日本人といわれるイラク人だから…

ガラージュ・アラウィからローカルのミニバスで一時間半、
1750ディナール
カルバラに到着した。
いくつかのホテルで満員と断られ、ホテル・アル・アラビーで
一泊35ドルで手を打つ。
今回の取材の宿泊費は本当に高くつく。
カルバラは、イマーム・アリーの息子イマームフセインを葬ったモスクと
その弟のイマームアッバース・モスクの二つのイスラム寺院
中心に広がった門前町だ。
午後、鉄製の鎖を束にした鞭で、自分の背中を打ちながら練り歩く
黒服の一行を撮影。
インターネットを探して右往左往したが、警察に職務質問
所持品検査されるだけで、見つからない。
街にはアラブ人よりイラン人とアフガン人、レバノン人の方が
多いのではないかというほど、雑多な顔が多い。

午後5時過ぎ、日没の光が最も美しい時間に、鎖でわが身を打つ人々の
行列を撮影できた。
22日の夜のサマワではデジタル一眼を使ったが、今日は
銀塩カメラ一台だった。
日中から夕暮れの十分な光の中では、デジカメはまだ銀塩カメラ
美しさにおいて全く敵わない。
極端にフィルム消費の少ない私が、一日で36枚撮りエクタクローム
2本を使い切った。
しかし、ここで撮れるのは真剣に力いっぱい血が滲むまで自らを打つ人たち
ではなく、年中行事として宗教儀礼に参加するごく普通の人たちだ。
サマワの方がむしろ、真剣な宗教行為の側面が強かった。