アーシュラー

24日か25日にテレビ東京でリポートするということに
なっていたのだけれど、27日のオウム麻原の判決でワクが取れないらしい。
リポートの具体的な話は判決以降の週末に延期になりそうだ。
それまでサマワですることがなくなってしまった。
今いるホテルはおそらくサマワで一番安いところだけど、
一泊20ドルも取る。
個人的には自衛隊に全く関心がないし、理由もなく居続けるには、
私のようなビンボー人には厳しい。
週末また戻ってくるということにして、一旦引き揚げようかなあ。

今日からシーア派イスラム最大の祝祭アーシュラーだ。
イマームフセインの殉教を悼んで、
青年たちがわが身を鞭打つ儀式が行われる。
サダム支配下で、アーシュラーの祝祭は厳しく制限されてきたため、
今年は初めての「サダムなしのアーシュラー」で、
それだけに盛大なのだそうだ。
シーア派の街サマワでも町のそこここで準備が進んでいる。
アーシュラーなら、シーア派の聖地ナジャフ
カルバラーで迎えるべきだという気がする。
ナジャフなら、サマワから乗り合いタクシーでものの2時間、
2000ディナールだ。
明日にも移動しよう。

夜、このサマワでもアーシュラーの祭りが始まった。
さっそく繰り出してモスクや町の集会所で撮影を始める。
親切なムスリムが私の手を引っ張って、
次から次へと催しが行われている場所へ案内してくれた上、
集会のリーダー格に掛け合ってくれて、撮影許可まで取ってくれた。
不思議なことに、3つのホテルを満杯にするほどいるはずの
日本のジャーナリストは一人として見掛けない。

午後10時、撮影を終えてホテルのロビーに戻ってきたところで、
友人になったアリが私に問うた。
「明日はどうする?」
ナジャフへ行くよ」
「危ない。やめなさい。治安のいいサマワとは事情が違うんだ」
そういわれても、私は治安がいいからサマワへ来たわけではないし、
危ないからこそ他の人間でなく、私がそこへ行くわけで、
危ないからやめろといわれてやめていては仕事にならない。
とりあえず、明日の朝サイバーカフェへ行って、
正午にはナジャフへ向かうとしよう。