同業者(その2)

桜木くんは世界がイラク戦争一色だった今年、春と秋の二回に分けて、
数ヶ月間、インドが支配するジャンムー・カシミールに長期滞在して
現地の動きを追い続けた。
日本ではカシミールに関する本は一冊も出ていないし、
継続的に取材を続けている人といったら
アジアプレスの廣瀬和司くんしかいない。
(参照→ http://www.asiapress.org/03memb/hirose/hirose.htm
その廣瀬くんも、発表実績はほとんどないから、
日本でカシミールというのは、結局なにも報道されていないに等しい。

ここしばらく、知り合いになる同業者といったら、
それまでなんにも言っていなかったのに、
米国が侵攻してきて初めてイラクパレスチナあたりに注目して、
やれ、いかに人権が守られていないとか、米国がいかに横暴であるかとか、
ヒステリックに騒ぐしょうもない連中ばかりだった。
「同業者」と書いたけど、私は彼らと自分が同じ職業だと思いたくない。
自分ではむしろ、正反対の仕事だと思っている。
久し振りに中身のある、しかもこんなに若い、
「同業」のジャーナリストに会えてとても嬉しい。