「09/09 (火) シェイダさん」について(その1)

9月9日の日記「シェイダさん」に関して、
読者から質問のメールを頂きました。
シェイダさんが反発した気持ちがわからなかったとのこと。
確かに、説明不足だったと思います。

まず、説明しておかなければいけなかった点は、
イスラム教徒としての私やハディージャさんの立場です。

私たちは、イランにせよ、サウジアラビアにせよ、
現存するすべての自称「イスラム国家」の正当性を否定しています。
現在、イスラム教徒は大まかに分けて
およそ9割のスンニー派と1割のシーア派
分かれているとされていますが、私たちはそのどちらにも属さず、
スンニー、シーアを名乗ることは反イスラムであると考えています。
私たちは世界のほとんどのイスラム教徒とこの点で相容れず、
孤立した立場です。

現在の自称イスラムのほとんどの宗派、学派は
シェイダさんら性的少数派の生存権を否定しています。
これに対して、シェイダさんは
イランのイスラムが「正統」であるという前提で、
イスラムそのものを否定しています。

シェイダさんはハディージャさんが髪の毛を隠していないことを指摘し
追及しましたが、「女性が髪を隠すべき」などという記述は
コーランのどこにも書かれていません。
また、同性愛者を死刑にすべきであるとか、
姦通罪の罪人を石打の刑に処するべきであるといった記述も
コーランのどこにも書かれていません。

私やハディージャさんは一種のコーラン主義であって、
コーランのみがアッラーの意思を知る手掛かりになりうるという立場から、
コーランに書かれていないイスラムに関する主張を
「捏造品の可能性がある」と主張しています。
それを根拠に私たちは、「イスラム法に従う限りシェイダさんは無罪」
と主張しています。
しかし、現実のイスラム社会では、コーランにない
「自称イスラム法」が勝手に施行されているケースがあまりに多く、
これがイスラム世界での人権侵害の大きな割合を占めています。
これをイスラムを否定する立場から批判する
欧米の団体は数多いですが、イスラムの立場からの批判は
私たちを除いてまったくといっていいほど聞かれません。
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