妄想で記事を書くひとびと(その3)

米国政府がチェチェンマスハドフ政府幹部を軒並み招いていたというのだ。
米国はチェチェンの味方なのか?
もっとも私は、そういい切れるとも思っていない。
米国もグルジアも、「チェチェン勢力の掃討のため」に
グルジア・パンキシ渓谷に部隊を派遣したタテマエは取り下げておらず、
今も米国大使館のホームページの「テロとの戦い」のページには、
グルジアのコーナーがあって、そこではチェチェン勢力がテロリストと
はっきり書かれているし、私はそのテロリストに誘拐されていたことになっている。
(実際にはグルジア当局よってパンキシ渓谷脱出・帰国を妨害されていた)

つまり、米国もグルジアも、かつて英国がパレスチナで使ったような
「二枚舌政策」を取っている。
彼らはチェチェン勢力をそれぞれに思惑に利用しようとしているだけだ。
恐らく彼らは、チェチェン勢力からイスラムの影響を少しでもぬぐい去ろうと
躍起になっている。
その方が利用しやすいからだ。

確かに、今回のモスクワの事件の実行犯が、
事前にアルジャジーラに犯行予告を送っていたことは事実らしい。
しかし、私が以前から知っていた事実として、
彼らが所属するらしい故アルビー・バラエフのグループは、
ウサマ・ビン・ラディンとは宗教的方針の隔たりが大きく、なんら接点がない。
いったいどこのアルカーイダが女性の単独カミカゼ突撃を行ってきたか?
施設占拠の実行犯に女性を参加させてきたか?
911にしろバリ島爆破にしろ、犯行声明すらなく、具体的目的も要求も明らかにせず、
実行犯は自分だけ安全なところに隠れているではないか。

今回の事件は、それがどんな形で決着をつけるにせよ、
結局正義を実現するにはテロしかないのかという、ペシミズムを蔓延させるだろう。
理性ある人は、チェチェン戦争をとにかく終わらせるべきだと知っている。
そのために方法の如何に拘わらず具体的に何かをしたのは、
ハワジや今回の占拠犯グループだけで、
口だけの「人権」を掲げる欧米やロシアの誰かではなかったのだ。
もしも、テロを政治的思惑でなく、人道の観点から非難するのなら、
その人なりメディアなりは最低限、彼が「テロリスト」と呼んできた誰かよりも
真剣に働かねばならない。