ハワの殉教

毎日新聞にコメントを求められ応じたが、いくつかの点で不満だ。(↓)
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200210/24/20021024k0000e030082001c.html
「死亡したバラーエフ指揮官の妹も00年に自爆テロで死亡したとされる」
とは、私が取材に対し語った情報を元にしたらしい記述だ。
しかし、ハワ・バラエワはパレスチナイスラエル民間人を標的とした
自爆攻撃などと違って、占領されたチェチェン内で、
占領の当事者そのものであるロシア軍の施設を、全面戦争下で攻撃したのだ。
つまり、今モスクワで進行中の事件とさえ、性格に隔たりがある。
ハワの行為を「テロ」と呼ぶなら、「テロ」を非難するどんな根拠を
私たちは発見できるだろう?
私は一モスレムとして、パレスチナ人のイスラエル民間人を標的とした自爆作戦を
イスラム法に基づいて「破戒」と主張しているが、
ハワのケースはこれと違って「合法」と判断している。
イスラム法でなく、国際法に照らしても違法性を見つけるには
チェチェン人が抵抗すること自体違法」とか証明できない限り無理だろう。
いずれにせよ、「テロ」だの「過激派」だのといった、
政治的・恣意的に利用されやすい表現には配慮して欲しかった。

アルビー・バラエフに関しても、「将軍誘拐に関与」「戦闘的かつ残忍」など、
ロシア当局の主張だけで記事を構成しているのは、明らかに公平性を欠いている。

チェチェン独立派政府が公式化したニュースサイト「カフカス・ツェントル」が
劇場占拠グループの意思表明の場となっていることから、
事件には独立派の総意も反映されている可能性がある、
そうでなければ、「戦争終結」を要求する当事者たることもできないはずだ、
毎日新聞にお答えしたのだが、
その後、もう一つの公式ニュースサイト「チェチェンプレス」が
ザカエフ副首相の言葉として、「事件は政府と無関係」と発表してしまった。
統一されたということになっている独立派政府内で、
意見対立が続いていることも明らかだし、
独立派内でも一部勢力の独断専行なのか。