辺見さん

辺見さんが講演されたらしい。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200209102047562
記事を読んで、違和感を覚えた。
「この国の途方もない無関心こそ非人間的」
と語ったという。
では、自分はどうなのさ?
ニュースの中心になるまで、アフガニスタンに関心を持たなかったじゃないのさ。
内実はやらせのパレスチナについては「問題の根本」などといって、
今なおパレスチナと桁違いの殺戮が続くチェチェンにもスーダンにも
取材しないじゃないのさ。
「米国がどうのという以前に、日本の私たち自身がどうなのか、
鏡を見てみるべきだ」
といいながら、チェチェンの殺戮の第二の当事国が日本だとも、
東ティモールの30年間の殺戮を支えたのが日本だったとも、
口にしないし、取材もしないじゃないのさ。

辺見さんは文章がうまい。
まるで詩のようで、読むたびにいつもため息が出る。
これほどの文章力が自分にあったら、と思う。
辺見さんとは、この春に一度会った。
PLAYBOY日本版の誌面でも、特集企画でご一緒した。
私は氏の、常に安穏として一つところに落ち着いてしまわない、
自己満足に陥らず、問い続け、悩み続ける姿勢が好きだ。

しかし、だからそれだけに、辺見さんが報道の現場にいながら、
自ら報道するのでなく、報道に動かされるだけの存在になっていること、
自分から問題提議をするのでなく、
すでに議題にあがっているものだけを考察する、
ワイドショー番組のスタジオ「文化人」みたいになっているのが、
悔しくてしょうがない。