ハワジとチェチェンを巡る動き(その2)

昨秋のアブハジア侵攻作戦では、チェチェン勢力と共に
グルジア・スワネティ地方政府知事に率いられたグルジア民兵部隊が、
アブハジア駐留CIS平和維持軍ロシア軍部隊と激しく交戦した。

そして、度重なるグルジア領越境空爆・・・
全くといっていいほど伝えられていないが、
ロシアとグルジアは既に交戦状態にあるのだ。

先月末からのチェチェン勢力の大攻勢が
グルジアの支援なしに実現したとは、私は信じていない。
国力においてロシアにまるで歯が立たないグルジアが、
堂々とチェチェン独立派政府支持を打ち出すことができず、
陰でこそこそ、という行動に出ざるを得ないのは理解できる。
が、陰でこそこそは必ずいずれボロが出る。
ハワジの逮捕はこうした矛盾の結果だ。

グルジアの背後にいる米国はどうしているか?
23日の空爆に関して、米国は「グルジアを支持する」と表明している。
911に便乗したロシアの「反テロ」作戦に冷ややかなまなざしを送った。

それだけではない。
「パンキシ渓谷のアル・カーイダ関連テロリスト掃討」の名目で
特殊部隊を派遣した米国だが、なぜかアブハジアに大使を送っている。
しかも、わざわざ「アブハジアグルジアの一部だ」と、
アブハジアの独立を認めず、グルジアの主張を支持する通告をして帰っている。
(↓)
http://www.rferl.org/newsline/2002/08/220802.asp

チェチェンウォッチ・渡辺千明氏による翻訳(↓)
http://groups.msn.com/ChechenWatch/general.msnw?action=get_message&mview=1&ID_Message=251&LastModified=4675385511018346450

米国もまた、「バクーの油田が欲しい」と素直にいえないがため、
こそこそと回りくどい動きを見せている。

米国、ロシア、グルジアといった大国・小国が、
お互いの本音をぶつけ合わないことは、
大規模な衝突を避ける効果もあるだろう。
誰もチェチェンの二の舞にはなりたくないのだ。

しかし、彼らの「陰でこそこそ」の巻き添えになる人たちもいる。
今回の空爆の犠牲者しかり、アブハジアチェチェンの市民しかり、
国家の政策でチェチェンに送り込まれたロシアの兵士たちしかり。
そして、チェチェン市民の側についたハワジもまたそうだ。