タナトスの勉強:続き

人間は死に逆らって生きている。
自然のエントロピーに逆らうエネルギー、
つまり生にとどまろうとする欲求がエロスで、
自然本来の姿である死に従い、緊張をゼロにして、
静寂と安らぎを得ようとする欲求がタナトスだ。
だからタナトスは、休息や眠りとも関わっている。

エーリッヒ・フロムは、エロスとタナトスの正体を、
生への愛ビブロフィリアと死への愛ネクロフィリアで説明しようとした。
ネクロフィリアは自分に向かうとマゾヒズムとなり、
他者に向かうとサディズムとなる。
これを提唱するに至った経緯には、この時代ナチスの行った殺戮を説明しよう
という試みが、フロムの念頭にあったという。
しかし、ナチの行動原理がネクロフィリアであったなんて、
戦勝国に都合のいいプロパガンダに思われて仕方がない。

これに似た概念として、人間の攻撃と破壊の衝動をタナトスとする考え方がある。
確かに攻撃と破壊は、動物が食物を得るため、
また天敵から身を守るために必要であった根元的な衝動だろう。
しかし、いずれも、自分の死を志向するのではなく、
個体保存のため、生命維持のための行動ではないか。
それは自己愛、つまりエロスの一つの現れとして、説明できそうだ。
他を攻撃・破壊する衝動が、
自己破壊衝動と同一と言い切っていい理由が見つからない。
誰か分かったら教えてください。

ああ、ひとさまが読んでくださるこの場所を、
自分の覚え書きの場所にしてるなぁ。

え?
なんでタナトスなんか勉強してるのかって?
だって、やつらがどうして死のうとするのか、
どうしても分からないんだもの。