けだかき精神の破滅

広河 隆一さんのホームページのコラムを読んで、涙が出そうになった。

独立戦争の光と影」
Posted: 3/20/2002
http://www.hiropress.net/column/index.html

広河さんが、腐敗し内部抗争に明け暮れてゆくPLOに幻滅していった気持ちは
私にもよく分かる。
私がパレスチナを知った時には、PLOは既に民心を失っていたから、
私はPLOではなく、本当の意味で今の市民の希望を代弁している
ハマスやジハードという組織にしか興味は持てなかったが、
私がもしあのときの広河さんだったら、
社会主義に興味がないにしてもやはりPLOに希望を持っただろう。

全く同じように、アフガニスタンイスラム戦士たちにも、
私は幻滅しきってしまった。
私は広河さんと違って社会主義者ではなく、モスレムだから、
アフガン戦士たちの堕落と内部抗争は、他人事でなく悲しい。
なぜモスレムが同じモスレムと殺し合うのか。
イスラムが世迷いごとでなく、本当に私たちを救いうる教えであると、
彼らは事実を持って証明できたかも知れなかったのに、
自分たちの手で自分たちを汚し、神の名を汚し、
命を捨てて闘った大勢の仲間の名誉さえ失墜させ、希望の火を消してしまった。

そして今、チェチェンイスラム戦士たちが
けだかい精神を持ち続けていてくれるかどうか、私は気掛かりで仕方がない。
チェチェンやパンキシにはヘロインと麻薬中毒者が溢れている。
マフィアが蔓延り、私は精巧なニセの米ドル札も目撃した。
そして、チェチェン人同士がグループごとに分かれて、
ハジムリート(チェチェン独特のスーフィー派)だ、
ワハビート(外来のワッハーブ派)だといって、抗争を始めている。
今のままでは、彼らは確実に、パレスチナ人やアフガン人と同じ道を辿るだろう。

広河さんがパレスチナに関していっているのと同様に、
アフガン人やチェチェン人が堕落したことと、
彼らの土地を米国やロシアが侵略することは別の問題だ。
逆に、全ての悲劇がこの侵略に端を発している。

パレスチナ同様、アフガニスタンチェチェンも、
今、新しい国家が誕生しようとする産みの苦しみを味わっている。
ただし、パレスチナイスラエルと政治の駆け引きを繰り返しているのに対して、
アフガン人は問答無用で米国に殺し尽くされ、
チェチェン人は問答無用でロシアに殺し尽くされようとしている。
凄まじい弾圧は、最後のけだかき精神まで滅ぼすのだろうか?