栄光の20年(その2)

当日まで迷いに迷った挙げ句、取り敢えず文学部を訪れた私は、
これからこむぱに出掛ける(嗚呼、栄光の)少女マンガ研究会の
おねいさん方の集団を文学部ラウンジに見てしまった。

今にして思うとそれが、人生の過ちの始まりだったのだが、
そのときの私にそんな理性は働かなかった。
MS、Tさん、Yさん、Eさん、T2さん、Enさん、Yd・・・
そのときの彼らはカッコ良かった。
美女で、ハンサムで、お洒落で、洗練されていた。
オタクのオーラなんて、煩悩なんて、どこにも漏れ出ていなかった。
誘われるままふらふらと高田馬場の居酒屋寿幻夢(じゅげむ)に
ついて行き、二次会の歌舞伎町のディスコにも朝までいた。
こうして私の(栄光の)学生生活は、
少女マンガというよりも寧ろおねいさんの研究に費やされたのであった。
もちろん、女性に対する幻想を捨てられたのはアッラーに感謝する他はない。

さて、前書きが長くなったが、あれから13年後の今日、
(嗚呼、栄光の)少女マンガ研究会創立20周年記念パーティが開かれた。
ビルのラウンジを開放して設営した会場には、80人ほどの男女が集っていた。
その中には懐かしい顔もいたし、懐かしくもなく
たまに顔をつきあわせるのもいたし、初めて見る顔もあった。
私は13年前の幻影を見たと思った。
カッコ良いのだ。
魂の底までオタクに染まり、社会生活に破綻を来たし、世間で後ろ指を指され、
腐臭を放っているはずの魑魅魍魎・有象無象・人外魔境・百鬼夜行
少女マンガファンどもが、おくびにもそのような醜い浮き世の姿は見せず、
パーティドレスにスタイルのいい身体を包んで涼やかに歓談している。

うおおお!
おれは知っているぞ!
あの日、○○で××が△△して、××に□□されたことも、
▽▽と◇◇が●●と@@して、∞∞で☆☆になってしまったことも。
◎◎が▲▲に■■したことまで。
▼▼〓〓××●●▽▽!!!!!