大人気(おとなげ)(その1)

一番親しい友人から「大人気ない」といわれた。
何のことだろうと思った。
友人はなかなかいってくれない。
2ちゃんねる」の常連を冷やかしたことかと思うと、
そうではないという、
掲示板の坂本ハルくんの悪戯への対応だろうかと思えば
そうでもないという。
聞き出すのを諦めかけた頃に話してくれた。
富山コーラン破棄事件への私の態度だそうだ。
彼女にいわせると、ニュースで見た抗議のパキスタン人たちは
非常に怖かった―
どうして喚きちらかして騒ぐ必要があるのか理解できない―
明らかに日本人を威嚇していた―
穏便に、とかそういうことは考えられないのか、
周りのことを考えられないのかと不思議になった―
つねおかはこんな人たちの宗教を信じているのかと呆れた。
――なるほど、2年べったりつきあった友人にも
理解してもらえるわけではなかったのだ。
ずっと私自身が言っていることだが、モスレムと非モスレムは
基本ソフトが違うコンピュータのようなものだ。
彼女にWindowsが入っているとすると、私にはLinuxが入っている。
Linuxで使用するソフトはWindowsでは正常に作動しないことが多く、
Linuxで「当たり前」と出る演算結果が、Windowsでは「極めて異常」と出る。
コーランを破られるという行為は、
彼らのソフトでは文字化けどころか対応するフォントすらなくて、
「??????」と表示されてしまう。
そして、私の言動はたとえ確信犯であっても、
彼らのソフトで「大人気ない」と評価されるのだろう。
「大事なものを壊されたからといって騒ぐなんて、大人気ない」
残念ながら、より普遍性を欠いた発想をしているのは日本人の方だ。
ずっとイスラム世界を取材してきたが、
コーランを破り捨てるというハラスメントはこれまで聞いたことがない。
それほど愚かなことをする集団或いは個人は希であろう。
非モスレムであっても、モスレムの感情は理解できないにしても、
行為に対する結果の重大さは分かっている。
たとえ戦時下であっても、実際的効果がないのに対して
敵の報復意欲だけが高まることが分かっているから、
わざわざそんな無駄なことはしない。
或いは実行者はそうした重大性を知ったうえで、
それが日本で理解されないことを利用してやったのかもしれない。
より日本でモスレムと日本人の溝が深くなるようにと。
(続く)