ガザ市の中心街にあるシェファード病院。
ここには、ガザ地区インティファーダで負傷した人たちのうち、
けがの重い人たちが運ばれると聞いた。
受付で患者を取材させてもらいたい由を話すと、医師の一人が案内に立った。
2時間前に運びこまれたばかりの患者がいるという。
連れて行かれたのはしかし、病室ではなかった。
遺体安置室。
一見30歳ぐらいの痩せた男性が、裸にシーツを掛けられた状態で横たわっていた。
こめかみと、脇腹に穴が開いていて、こめかみから入った弾丸に砕かれたのだろう、頭蓋がおかしなふうに崩れて、顔の上半分が歪んでいた。
片目は、撃たれた時に飛び出したのか、なかった。
金属製の板に載せられていて、板は血で真っ赤だった。

「この人は通勤途中で撃たれました。
警察官でも軍人でもはありません。
彼は一般人です。3発の銃弾で、即死でした」
病院職員が説明した。

夜、エルサレムに戻って、
イスラエル当局がガザのパレスチナ人射殺を認めたことを知った。
普段は認めさえしないことの方が多い。
発表によると、ガザの北のバイトハヌーンで
男性がイスラムのスローガンを叫びながら、
イスラエル軍施設に侵入しようとし、
攻撃の意図が明らかであったため射殺した、とのこと。