戦闘・死(その2)
一本道の向こう、崩れて消えつつあるキノコ曇の下からロバを連れた男たちが歩いて来る。ロバの背には細長い包みが積まれていた。いや、包みではなかった。布にくるんだ人だ。にょっきりと、赤黒いはだしの足が覗いている。その足と布の間から、血が滴り続けていた。布の上からでも、中身が生前の原形をとどめていないことが分かる。それでも、私は聞いてみた。
「けが人か?」
「いや、死んでしまったよ」
ロバを曳きながらウズベクの服を着た戦士が答えた。
私のダリー語はかなりあやしく、こみいった質問ができない。遺体をどこへ安置するのか聞こうと思ったが、うまく言えない。
「あなたはどこへ行くのか?彼はどこへ行くのか?」
「フィルダウス」
戦士は一言だけ答えた。『天国』というダリー語だった。