イスラム過激派のいろいろ

自分の妻の鼻を切り落とした男の行方をタリバンが追跡
Taliban search for man who cuts off wife's nose: officials

ISが自らの構成員の欧州出身女性聖戦主義者を「姦通の罪」で石打ち処刑
ISIS stones one of its own female jihadis to death on charges of ‘committing adultery’: officials

イスラム主義組織と一口にいっても、タリバンイスラム国、ヌスラ戦線などで性格はずいぶん違う。チェチェン組織はもっと極端に違う。先進国社会側がなにもかも一緒くたに危険視し、恐れ、敵対してしまうのは、悪手だと思います。

もっと問題外なのは、専門家などが、「シリア反体制派はどれも同じ」とか、「アサド政権も反体制派も結局同じ」だとか、事実関係を無視して大ざっぱに括っちゃうことです。学問を愚弄し、真実に迫る試みを放棄しているとしか思えませんが、先日まで「イスラム国こそがカリフ制を復活させイスラム法に基づいてムスリムをまとめることができる云々」などと、異次元世界の分析を披露していた専門家が、そんなふうに極端から極端へ、突っ走ってしまう姿を見掛けます。
それこそ、日本特有のアサド礼賛学者たちと五十歩百歩といえるのではないでしょうか?

シリア、反体制派の異状

シリア反体制派の動向に注目していますが、どうやら段々、おかしな方向へ行きつつある気配です。

主流派の自由シリア軍については、かなり早い時期から、腐敗分子やならず者の混入、組織内部の連携の悪さ、熟練度の低さが表面化していました。海外の反体制派の代表組織もいつまで経ってもまとまれずにいます。
そんな中、これまではアルカーイダ系のヌスラ戦線や外国人義勇兵団ムハージリーンなどのサラフィ組織が—意外にも—評判がよく、反体制派の中で、とりわけ軍事的に重要性を増していました。
ところが、ここへ来て、今まで「意外にまとも」といわれたサラフィ組織が迷走を始めているようです。
まず、シリア版アルカーイダたるヌスラ戦線に「お家騒動」が持ち上がりました。ヌスラ戦線はもともと、イラクで活動している「イラクイスラム国」から分かれてできたともいわれ、深い関係を持っています。この、イラクイスラム国のアミール・バグダーディという人物が、「ヌスラ戦線とイラクイスラム国は合併して、イラク・シャム・イスラム国として今後活動する」と、宣言しました。これに対して、ヌスラ戦線の中のシリア人メンバーを中心に反発が出ました。
結局、本家アルカーイダのアミール・ザワヒリが潜伏先のパキスタンから声明を出し、「ヌスラ戦線はアルカーイダ直属の独立組織とする」と決済してお開きとなりました。
そういうわけですから、現在、シリアでは、「イラク・シャム・イスラム国」と「ヌスラ戦線」の二つのアルカーイダ組織が別個に活動しています。印象としては、ヌスラ戦線の方が地元に根を下ろして地道に活動し、イラク・シャム・イスラム国の方は、イラクでやってきた宗派争いをそのままシリアにも持ち込んで、最近はクルド人殺戮に熱意を傾け始め、アサド独裁政権の打倒という、当初の目的を見失って迷走しているように見えます。
今日になって、アムネスティが、「イラク・シャム・イスラム国を中心とする過激派が、シリアのトルコ国境近くで子ども120人を含むクルド人450人を虐殺した疑惑があり、調査すべき」と、発表しました。この事実は、クルド人組織がまず主張し、これをロシアのメディア「ロシアの声」が伝えていたので、ぼくとしては慎重に見る必要があるなあと思っていたんですが、事実であれば、イラク・シャム・イスラム国はもはやただの無法集団と化したと言えるのかも知れません。
ヌスラ戦線以上に軍事的に強力といわれるチェチェン人主体の外国人義勇兵団ムハージリーンの方にも動きがありました。
最近、反体制派はアレッポ北方の軍事空港を8ヶ月の熾烈な戦闘の果てに攻略したのですが、その主力がやはり、サラフィ組織でした。その作戦で活躍した最大・最強のムハージリーン組織ジェイシュ・ムハージリーン・ワ・アンサールのアミール・アブーウマル・シシャニが、イラク・シャム・イスラム国の北部方面司令官に任命されたと、チェチェンのサラフィ系組織のウェブサイト・カフカスセンターが伝えました。
これまでムハージリーンは、サラフィといってもアルカーイダとは一線を画す立場でしたが、ここへきて最大組織が合流したことになります。また、これまでチェチェン独立派武装組織はあくまで反露の立場であって反米、反欧州、反キリスト教徒全般などではなく、アルカーイダとの関係は薄い、とされてきましたが、アルカーイダに合流した、ということにもなります。
ちなみに、ヌスラ戦線はTwitterのアカウントで、血塗れの死体や切断された人間の頭部などの写真を掲げ、「米国がカリフ国建設を邪魔するなら、こんな目に遭わせる」と、威嚇していました。
ぼくは4月に、もう一つのムハージリーン組織ジャヌード・ル・イスラムに密着取材しましたが、このグループはジャヌード・アッシャームと改称した以外は大きな動きがなく、ジャバルトルクマン地方で、アサド政権を相手に戦闘を続けているようです。

論理と非論理

10年以上前の「大仏破壊」のときに、他人の論理能力というのは当てにしてはいけないものだと分かった筈なんだけど、いつまで経っても不思議なのは、ぼくより頭のいい人は大多数なのに、それでもそういう人が倫理構成に失敗してしまうということだ。
結局、自分が倫理を組み立てているのか、それとも宗教やってるのかの判別ができるかできないかの問題なのだろう。ごっちゃにした典型例がオウムであり、あるいは「科学的社会主義」たるマルクス主義だった。
ロジカルな「教義」のない希有な宗教を持つ日本人にとってこの問題は大きい。逆に、ユダヤ人がノーベル賞取りまくるのはそこがうまいせいなのかな?

連絡先の連絡

前回の更新はイスラマバードからでしたが、早い話が、その後またまたとっ捕まり、おっ返されて、その上、瀕死の重病に罹り、三途の川を取材して、生還いたしました。
お騒がせばっかりして、本当に申し訳ございません。二度とご迷惑おかけしませんと申し上げたいところですが、今回の件で、私の行動を執拗に妨害している意味不明な存在が明らかになりました。
大変申し訳ないのですが、こいつらとは今後もとことんお付き合いをせざるを得ず、その結果、今後はこれまで以上にお騒がせしてしまうと思います。今のうちに土下座させて下さい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
それで、別の話題ですが、最近、今まで使っていたメインの携帯電話番号の契約を変更いたしました。モバ・マスターとしてちょっとした実験に使用中で、そのため、事実上使用不能状態となっています。代わりに、連絡可能な電話番号を用意いたしました。

090-6534-6961 (SoftBank)
090-8943-3801 (docomo)

これらの番号ですが、音声通話は不可です、契約上の問題で。SMS(ショートメール)で、連絡が取れるようにしています。ソフトバンクの方は上のソフトバンク番号宛ですと無料です。ありがたいことに、日本の携帯各社がSMSの事業者間接続を開放してくれたために、ソフトバンク、ドコモ、イーモバイルb-mobileなどの利用者の皆さまは、これらの番号に世界のどこからでもいつでもメールが送れるようになりました。au利用者の皆さんは日本国内からであればメールできます。ウィルコム利用の皆さんは、…ごめんなさい。

SkypeのIDは
shamilsh
ViberのIDは今までと変わらず
+819099798189
Google Talkのアカウントは
shamilsh@gmail.com
です。
こちらはぼくがオンラインでいる限り、いつでも音声通話とチャットが可能です。
そうそう、OCNのIP電話番号もございます。それも、なぜか二つも。
050-3635-8189
050-3310-0807
です。こちらは、スマートフォンのデータ通信状態が良好の時、またはPC上でエイジフォンというアプリケーションを起動しているときに通話可能です。
よろしくお願いいたします。

イスラマバード

前回の投稿が7月4日でしたが、その後の顛末を報告していませんでした。
成田を発って、イスラマバードへ向かったものの、ベナジル・ブット国際空港でいきなり、入国拒否を言い渡され、乗ってきた飛行機にそのまま無理矢理乗せられて、日本に強制送還されたのです。ちゃんと、ビザを持っていたのにも関わらずです。強制送還の理由は説明されず、問答無用、という体でした。日本人がパキスタンから強制送還されるなんて、前代未聞なのだそうでした。ぼくとしては、まるきり、意味が分かりません。
帰国と同時に、ぼくは体調を崩して、寝込んだり、病院に通ったりの生活になっていました。実は今も体調はちっとも快復していません。それでも、アフガニスタンに続いてパキスタンにまで門前払いされるという、まったくもって、理不尽な仕打ちに腹が立って腹が立って、復讐のために生き延びているような感じでしたよ、はい。
それで、仕返しをしなければいけないので、いろいろ工夫した挙げ句、詳しいことはいえませんが、とりあえず、パキスタンに潜入しました。よかった。潜入できて。
今は、二ヶ月前に入り損ねたイスラマバードにいます。ぬけぬけと電話番号を公開いたします。
+92-3005694007
です。どうぞ、お気軽にお電話下さい。
仕返しに潜入したとはいっても、ぼくは別にパキスタン政府を転覆しようとか、恐ろしいことは考えてませんので、地道にちょぼちょぼ取材して、普通に帰ろうと思っています。ああ、去年4月に誘拐されて以来、どん底な気分が続いていたんですが、とりあえず、取材を再開できてよかった。一年半ぶりですよ。帰国したら今度こそバイクを修理しようっと。

パキスタンへ

今年の一月から延々と、アフガニスタンのビザを取るために努力してきましたが、アフガン外務省に無視され続けている状態です。仕方なく、今日、このあとパキスタンへ向かうことにします。
パキスタンではできるだけ早く、現地の携帯電話番号を入手しようと考えていますが、ひょっとすると時間がかかるかも知れません。そこで、とりあえず、日本の電話番号を公開しておきます。
+81-90-9979-8189
日本からおかけの場合は
090-9979-8189
で大丈夫です。ビンボーなので、受話器を取らないかも知れません。が、SMSのメールはちゃんと読みます。現時点では、この番号にはSoftBankか、海外番号からしかSMSが送れませんが、今月12日以降、ドコモやAUイーモバイルの番号からも送れるようになります。なお、MMSは受信できませんので、ご了承ください。
できるだけ、現地でインターネットの利用環境を確保するつもりですが、ネットがあるような高いホテルに泊まるお金はなく、携帯GPRS回線が繋がらない場合、ネットからも遠ざかる可能性もあります。SMSはインターネットがない環境でも、携帯の電波さえ飛んでいれば必ず連絡がつきますので、どうぞご利用ください。SoftBankの人はいくら送っても無料なので、どしゃどしゃどうぞ。
パキスタンでは首都のイスラマバードを拠点に、キーパーソンのインタヴューなどを試みるつもりです。帰国は一ヶ月後の8月4日を予定しています。
それでは、行ってまいります!