リトビネンコ追悼企画(その2)

 つづく第二部では、グローバル・テロとローカル・レジスタンスに焦点をあて
て、急変しているチェチェンコーカサス情勢と、イスラームという宗教につい
ても、理解を深めたいと思います。日本国際フォーラム代表の伊藤憲一さんは国
政治学者として、さまざまな政策提言をしてこられましたが、1990年代から
チェチェン問題に関わられ、グローバル・テロとローカル・レジスタンスを峻別
することを提唱されておられます。9月に150日に及ぶアフガニスタンでの人質
生活から生還されたフリー・ジャーナリストの常岡浩介さんは、チェチェン戦争
取材中に、モスクワでイスラームに改宗され、以来信仰者として、チェチェン
コーカサスイラクパレスチナアフガニスタンなど、現実にジハードが戦わ
れている、イスラーム社会のホットスポットで取材を続けて来られました。一
方、映像作家、岡田一男さんは、1960年代前半のモスクワ留学以来、全体主義
帝国主義国家ソ連の内外で繰り広げられてきた、民衆の抵抗運動・民族解放闘争
に宗教的信仰を持たない立場で関心を寄せ続けてきました。今年の夏、チェチェ
武装抵抗運動の有力司令官たちが、3月に発生したモスクワの地下鉄駅連続爆
破に代表されるような、ロシアの民衆を標的とするテロを拒絶したことに対し、
岡田さんは、チェチェンにおけるアダー(慣習法)とイスラーム社会における
シャリーアイスラーム法)の、二択と捉えたことに対し、常岡さんは、「シャ
リーアでも無差別テロは、許されていない。アルカイダの戦法は、イスラーム
会でも異端であると指摘されました。イスラームを理解することは、中央ユーラ
シア・コーカサスに対する認識を深めるのに不可欠と思います。コサックの末裔
だったリトビネンコは臨終に改宗し、ムスリムとなって死を迎えました。その遺
志を偲んで、この会を持ちたいと思います。ぜひ、ご参加ください。(その3へ)