よい時代、よくない時代

アジマールはナングラハル州カマ地区ハシ村の出身で、ハシ村に自宅があります。また、ナングラハルの州都ジャララバードにも家があります。ジャララバードの家には電気はありますが、水道はなく、ハシ村の家には電気も水道もありません。
一方、彼が移住したオスロの自宅には水道も電気もシャワーも、なんでも揃っています。それでも、アジマールが一番好きなのはハシ村の生活で、一番苦手なのがオスロの生活だそうです。もちろん、ぼくにとっては序列は正反対です。電気はともかく、水道がないなんて、無理。死むよ。
カブールのジャーナリスト、アンサリさんは、「アフガニスタンの近・現代史中、もっとも国民にとってよかった時代はダウド・ハン国王の時代、その次がタリバンの時代だ。今は経済的にはタリバン時代よりいいが、治安が悪過ぎて、国民にとっていいとは言い難い」と、語ります。
確かにぼく自身、カイバル峠を通ってここへ来ることはできませんでしたし、陸路でカンダハルへもいけません。99年のタリバン統治時代は国中どこへでも陸路で安全に、しかも安価に取材できていました。もちろん、当時それができなかった海外の報道機関やジャーナリストはいましたが、それは本人たちの能力に関わることですので…
現在でも、全土の8割をタリバンが支配しているというクナール州や、南部の州では、外国人や政治に関わっている人以外の、一般的なアフガン市民にとっては、タリバンシャリーアイスラム法)統治のおかげで治安がいいのだそうです。
昨日、刑務所訪問の帰り道に、近くに住むアンサリさんの親戚の家に立ち寄ってお茶をご馳走になりましたが、一家のご主人は数年前に家を襲った強盗に殺害されたということでした。話をきいて暗澹たる気持ちになりました。
ちなみに、最悪の時代は現在ではなく、共産主義政権のアミン、タラキ、カルマルの時代だったそうです。訪ねたポリチャルヒ刑務所は当時、国民の恐怖の対象で、一度入ったら生きて出られないといわれました。今も周辺では処刑された人たちの遺骨が見つかります。