「ポチの告白」

新宿K's Cinemaで劇場映画「ポチの告白」を観てきました。ぼくが日本一の
ジャーナリストと信じる寺澤有氏が原案とスーパーバイザーを務めた、限り
なく実話に近いノンフィクションです。
http://pochi-movie.com/
ジャーナリストが作った映画とか、政治的主張を訴えたいために作った映画と
いうのは、作品としては観るに堪えないものが多いのですが、これは予想外に
面白かった。尺が3時間もあるのですが、2時間程度にしか思えません。
これはひとえに監督の力量と、俳優たちの演技力によるものでしょう。主役の
菅田俊、警察官役の野村宏伸出光元らが凄味のある芝居を見せていました。
キツネ目の宮崎学氏、寺澤有氏らがそれぞれチョイ役で顔を出しているのも…
ただ、とても不安なのは、映画で描かれてゆく警察の犯罪組織化した実態に
ついて、それがあまりにもデタラメすぎて、現実にあることだと観客に
思ってもらえないのではないかということです。
巷では「警察もの」のドラマや映画が人気で、「踊る大捜査線」あたりは
たいへんなブームにもなりましたが、ぼくはああいった作品を楽しく
観ることができません。なぜなら、警察の実態はあんな正義漢でも、善良な
ものでもないからです。
ぼくが取材してきたのは長崎県警でしたが、劇中で描かれたものと全く同じ
組織的な裏金作りという名の公金横領や暴力団と癒着した銃器犯罪の事実が
ありました。末端の警部補はクビになり、裁判にかけられましたが、もっと
ひどい、長年にわたって地元暴力団にたかり、金銭を受け取り続けていた
幹部警察官は退職金まで受け取り、今も悠々自適の生活を送っています。
警察はどんな暴力団も足元にも及ばない、日本最大の犯罪組織なのです。
犯罪組織としてのロシア秘密警察FSBの実態もぼくは取材しましたが、
日本の警察は、チェチェン人25万人を殺した点以外は、彼らとあんまり
変わりません。