タウヒード

 ハディースは啓典ではない。純正な啓典はクルアーンだけだ。ハディース預言者の言業を、のちの弟子たちが纏めたもので、人の手を介している。すなわち、人間がそうであるように、誤謬と嘘に塗れている。そもそも、預言者が人間である以上、ハディースと神とはなんの関係もない。預言者が伝えた神の言葉は、即ちクルアーンであって、それ以外にはないのだ。
 クルアーン以前の啓典は確かに、イエスの言葉を弟子たちが纏めたり、モーゼのできごとをのちの人々が言い伝えたりしたという意味で、ハディースに近い立場にある。だとしたら、福音書や律法もハディースと同程度に私たちは従わねばならなくなる。現実には、過去の啓典には間違いが含まれるといって、私たちは従っていない。であれば、ハディースにも間違いが含まれていると考えるべきであって、私たちはこれに無批判に従ってはならない。盲従してしまえば、偶像崇拝の罪を犯すことになる。
 神が人間に与えたものは、クルアーンとこの宇宙の二つだ。クルアーン同様、宇宙にも無数の真理が書いてある。クルアーンに書いていないことは宇宙に書いてある。だから私たちは「知識を求めよ」というクルアーンに従って、宇宙から知識を求めなければならない。ハディースからではないし、ムッラーからでも、イマームからでも、アヤトラからでも、シェイフからでも、ウスターズからでもない。