香港

来るときは夜だったので、初めて自分の目で香港を見た。
飛行機の窓から見下ろす香港に、私は吃驚してしまった。
なにしろ、地上にあるものすべてが縦になっていて、
重力の法則に抵抗し続けているのだ。
横倒しで据えられているのは巨大な橋ばかりだった。
ロンドンはこれに比べると、時代遅れのレンガの家と畑ばかりの
田舎に過ぎない。

空港ではほとんど待ち時間がなかったが、21番ゲート脇にある
無料のインターネットに走りこんだ。
※※にローマ字のメールを一言だけ送って、自分に来たメールの
チェックだけした。
※※が一週間後に帰国しそうだとのこと。
きっかり一週間後ということはあるまい。
7月末からということだろう。
どれくらいの期間滞在するのかは書いていない。
仕事を頼めるほど長くいるのだろうか?
こちらとしても、頼むべき仕事が本当にあるのか、
はっきりといえないだけに、話を詰められる状態にない。

午後2時25分に成田に着陸し、午後3時に空港の外へ出た。
香港人エスカレーターや動く歩道で片側に寄って急ぐ人に
路を譲ろうとしないのを見て、公共心に欠けているなあと思った。
などと考えていたら、帰国した成田空港で、日本人もさっぱり
エスカレーターの片側へ寄ろうとはせず、道幅いっぱいに荷物を降ろして
突っ立っているのだった。
私は電車内の携帯電話はまるで気にならないし、禁止されているのは
日本人の偏狭な精神構造ゆえだと信じているが、エスカレーターで
真ん中に立ちはだかる人には罰金を課したほうがいいとすら思っている。
携帯電話は他人をいらいらさせるだけで、そんなことでいらいらする人の
精神衛生の方に問題があると思うのだが、エスカレーターで通せんぼ
するのは通行妨害で、明らかな実害だ。
一方、電車内の携帯電話を解禁すれば、仕事で携帯を使う人たちは
業務がその分こなれて、多少の経済効果もあるに違いない。

京成線は3時24分発だから、大邸宅に着くのは5時過ぎになる。
恐ろしい暑さを覚悟していたが、神に賞賛あれ、25度程度だった。