核戦争の危機

米露が小型核兵器の開発を進めている。
なんのためか?
使うためだ。
冷戦期の核兵器は実態としては実戦使用ができない、
「存在することに意味がある」兵器だったが、その意味付けをあえて、
この二大国は変えてしまおうとしている。
人類はかつて直面したことのない恐怖に対面することになる。

プーチンの想定している小型核の最初の一撃は当然、
チェチェンに打ち込まれる。
彼はチェチェンで戦争を起こすことで権力の座に上り詰め、
そしてチェチェン人の抵抗だけが彼の完全たるべき計画を不完全にして、
足元を揺るがせてきた。
彼にとっては、自分のストーリーを完成させる必要がある。
これによって世界を震えあがらせ、再び恐怖によって
世界を支配することができるようになる。

トム・クランシーの小説「恐怖の総和」と、
フレデリック・フォーサイスの「イコン」は、
本質的な意味でフィクションではなかった。

中央アジア、ザカフカスへの米国の進出を許したのは、
この最後の目的を考えれば小さすぎる譲歩だからだ。
KGBが復活したのも、日本の常任理事国入りを支持したのも、
帝王プーチンの遠大な計画の第一歩でしかない。