エマージェンシー引き篭もり

やはりというべきか、今日発売の週刊現代から
私のコメントは消し飛んでいた。

昨日も、今日も、大邸宅に引き篭もって電話に齧りついている。

人質がまだ解放されていないのに、米軍当局は
「誘拐犯を処罰する」と宣言した。
これで、この事件の性格が明らかになった。
人質を取った誘拐グループを精神的に追い込めば、
人質の身が危険になることぐらい、素人でも分かるだろう。
米軍当局は、危機管理のプロフェッショナルだ。
なぜ素人でもやらない下手を打つのだろう。
処罰宣言は、人質解放後にすれば済むはずだったのに、
その前にした目的は、他でもない。
平和的解決の妨害・阻止だ。
ファルージャで戦闘中の米軍当局としては、
自分たちの敵が同盟国の国民に対して人道的な処置をしたとなると
具合が悪いのだ。
敵はあくまで絶対的な悪であって、非人道を極めていなければならない。

モスクワ劇場占拠事件でも、ペルー大使公邸人質事件でも、
占拠グループと第三者・仲介者の間で交渉が行われ、
流血回避の方法が模索されていた。
いずれのケースでも、平和的解決がすぐそこまでに近付いていた。
しかし、政府当局はそれを許さず、強行突入を選択し、
あえて惨劇の幕引きを選んだのだ。

今回もまた、米軍当局にとって、もっとも望ましいシナリオは、
強行突入によって、人質もろとも誘拐グループを
皆殺しにしてしまうことだ。
誘拐グループはこれまでに既に、世界中に自分たちの主張を
発信することに、十分すぎる程成功した。
これは、ただでさえ現在の軍事作戦に正当性を認めてもらえない
米軍当局にとって、大きなマイナス点だ。
喋る可能性のある口を、一人として生かしておくことはできない。
そして、高遠さんら3人は、誘拐グループ以上に雄弁に、
米軍の非を追及する口なのだ。
米国は今、自由な言論、あるいは民主主義そのものを敵として戦っている。