アーシュラーのサマワ(その2)

カルバラで話を聞いた市民の一人が言っていた。
「シスタニ師が今は米軍に協力しろというから、そうしている。
師が聖戦を宣言したら、私は武器をとる」
ここでもそうだ。
サマワの人たちはシスタニ師に従って、場合によっては
自衛隊にも私にも銃を向けるだろう。

サマワ市民と話ができた。
「シスタニ師はようすを見ているんだよ。
米国をどう見なすべきかについての時間を持とうとしているんだ。
米国がイラクの友人たりうるかどうか、もし師が敵だと判断したら、
聖戦が始まるだろう」

私はいった。
「日本もまた、同じですね。
敵か、友人か、サマワの人たちは今、時間をかけて判断しようとしている」
「日本は別だと思うよ。
イラク人はみな、日本人は平和的な民族だと知っている。
サマワの人たちは日本に大きな期待を持っている」
それから、サマワの人たちが期待している、「ビルを作ってくれる」
だとか、「橋を架けてくれる」だとかいった話をした。
つまり、みんなが「100ドルくれる」と信じ切っているわけだ。

まずいことに、明日、明後日と二日間、サマワではすべての商店が
休みに入ってしまう。
つまり、インターネットカフェは開かない。
緊急に連絡を取らなければいけないところが何ヶ所もあるというのに。
テレビ東京のN氏からは「1〜2日待って欲しい」といわれているが、
電話で週刊朝日のN氏に記事を書くかどうかの相談をして、
もし書かないことになったら、
一旦バグダッドへ戻ることにしよう。
もし書くことになったら留まることにしよう。
留まる場合、このホテルに頼み込んで、インターネットを
使わせてもらおう。
日本語が使える可能性なんて、ほとんどないと思うし、
LAN接続ができる可能性ときたら、どれほどのものだろう。
去年2月から4月に掛けて、つまり戦前から戦中に掛けては
通信の問題は単に、現地のインフラに頼っていた。
このため、3月24日までは電話は問題なく、インターネットは
制限された状態だったが、それ以降はすべてが完全にダメになった。
去年5月はこちらで2回線もの通信システムを準備していったため、
電話もインターネットも全く問題がなかった。
今回は、たった今この場のことに限定していうと、電話は掛けられるが、
受信できず、インターネットは全滅状態だ。